採用活動にも影響。企業クチコミ対策の「正解」とは?

ビジネスヒント
こんにちは、営業課の伊藤です。
この記事では、以前のコラム「『就職白書2025』等に見る、求職者のリアルな動向」の中でさらっと触れたクチコミサイト対策について、掘り下げてご説明していきます。
今や企業の採用活動において、ネット上のクチコミは無視できない存在です。ポジティブな投稿よりも不満や批判が目につきやすい傾向があり、企業イメージに影響を及ぼすことも少なくありません。
しかし、たとえ書かれている内容に不服があっても、明確な規約違反でない限り削除依頼が通るケースは多くありません。かといって、「クチコミ削除業者」に依頼すると費用がかかる上に、不正な手段を使われたりいつまでも削除されなかったりという悪質な例もあるので注意が必要です。
ということで、「結局、どう対応すべきか分からず放置してしまっている…」という方も多いのではないでしょうか。そんな企業ご担当者様のご参考になれば幸いです。
具体的な対応策
①クチコミ内容を把握する
まずは現状把握です。自社に対してどのようなクチコミがあるか、各種クチコミサイトで確認してみましょう。このとき、明らかな誤情報や誹謗中傷など、クチコミサイトの規約に違反する投稿があれば削除申請を行いましょう。削除申請の方法は、各クチコミサイトのヘルプページ等に記載されています。
自社のクチコミを調べる際に注意したいのが、検索エンジンで「〇〇(自社名) クチコミ」と検索しないほうがよい、ということです。同じ検索が多数行われると、検索サジェスト(オートコンプリート)に表示されやすくなってしまうからです。もちろん一人の検索行為の影響は限定的ですが、念のため「〇〇(自社名) クチコミ」で検索するのは避けたほうが安心でしょう。
そこで、検索エンジンでは「転職 クチコミサイト」または「企業 クチコミサイト」などと検索してみてください。すると検索結果に主要なクチコミサイトが出てきますので、各クチコミサイトを開き、クチコミサイト内に用意されている企業検索で自社名を入力することをおすすめします。

例1:「転職会議」の企業検索欄

例2:「OpenWork」の企業検索欄
②改善すべき点を改善する
ネガティブなクチコミの中には「たしかにその通り…」と耳の痛い話があったりしますよね。そういった指摘については、会社としてできる限り改善を進めましょう。
個々のクチコミに対応するより、根本解決が最善なのは言うまでもありません。今いる社員の定着率やエンゲージメントにも良い影響を与えますし、将来のクチコミ対策にもなります。簡単に改善できるものは少ないかもしれませんが、取り組むだけの価値はあります。「この実態が採用活動においても支障になっている」と上層部に訴えて協力を得ることも有効です。
ネガティブなクチコミも、普段なかなか聞けない社員の本音が垣間見えるという意味では、貴重な情報源と言えるのです。
③正しい情報・新しい情報・ポジティブ情報を発信する
改善したことについては、自社サイトやSNS等で積極的に発信していくことが大切です。実際に改善した取り組みを可視化することで、印象改善につながります。古いクチコミが残っていても、それだけで判断されてしまう事態を防ぐことができます。
クチコミの中には、偏った情報・古い情報・ネガティブ情報も存在します。その投稿自体をどうこうしようとするのではなく、自社が主体的に正しい情報・新しい情報・ポジティブ情報を発信していくことが重要です。
企業・採用サイトや動画、SNS、会社説明会などあらゆる広報手段を使って、今いる社員の声、今の職場環境、具体的な取り組み等を積極的に紹介し、自社の本当の姿・正しい魅力をしっかり届けましょう。
ちなみに、「社員に依頼してポジティブなクチコミを書いてもらえばいいのでは」と考える方がいるかもしれませんが、関係者が身分を明かさずに投稿するのは「ステマ(ステルスマーケティング)」に該当し、法的・倫理的に大きなリスクがあります。
ポジティブな声は、公式サイトや採用広報の場で正々堂々と発信するのが、結果的に最も信頼される方法です。
(参考)クチコミが求職者に与える影響
実際のところクチコミが求職者にどれくらい・どのような影響を与えているか、最後にデータを掲載しておきます。
新卒採用(大学生)のデータ
株式会社インタツアーが22卒・23卒学生を対象に実施した調査では、93.5%が就活中にクチコミを見ているという報告があります。
また、同調査では「ナビサイトで不足する『生の情報』『実際の様子』がクチコミに求められる」という結果も示されています。
学生がクチコミから知りたいと回答した項目は「入社前とのギャップ」58.8%が最多となり、「社風」48.2%「年収」42.4%「人間関係」41.6%「環境」35.8%「残業時間」31.5%といった項目が続きました。
これらの項目は主に社員の視点から会社についての実感を表現する情報となっており、学生が会社視点ではない社員視点や学生視点での情報を求めていることが伺えます。
※以上の引用元:【就活におけるクチコミの活用状況調査】Z世代の就活生はクチコミを使う学生が9割以上 不足する『生の情報』『実際の様子』がクチコミに求められる | 株式会社インタツアーのプレスリリース
中途採用(転職活動者)のデータ
エン・ジャパン株式会社が発表した「社会人4500人に聞いた『転職活動時のクチコミ閲覧』に関する調査レポート 2024年度版」によると、転職活動中に企業に関する社員クチコミを見ると回答した人は50%でした。
また、約7割が、社員クチコミの影響で応募や選考、内定を「辞退をしたことがある」と回答しています。
さらに、社員クチコミの影響で「応募を辞めた」「選考辞退した」「内定辞退した」と回答した方の85%は、社員クチコミで不安になった内容を「企業に質問していない」と回答しました。
やはりネット上のネガティブなクチコミについて、求職者からは直接聞きづらいもの。まずはクチコミ内容を把握し、改善し、企業側からオープンに情報を発信していく必要があるのです。
まとめ
新卒・転職者にかかわらずクチコミを参考にする人が多いのは、「こんなはずじゃなかったと後から後悔したくない」という気持ちの表れでしょう。そんなときに求められるのは、「本当のところ」が分かる豊富な情報です。それをクチコミだけに任せておかず、自社でもきちんと発信しましょう。
ネガティブなクチコミは闇雲に消すだけでは根本解決にはなりません。現状把握と改善のヒントとし、「改善→発信→信頼獲得」の流れを継続することが何より重要です。
クチコミも参照して、より良い職場を作っていき、その姿を発信していきましょう。
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