ホームページ制作費・動画制作費は損金か資産か?現場目線で簡潔にまとめてみた

伊藤彩乃

アカウントマネージャー
伊藤 彩乃

ビジネスヒント

こんにちは、営業課の伊藤と申します。

11月も後半に入りました。今期の業績見込みが良い企業では、来期以降に向けて何に投資するか検討を始めているところもあるでしょう。あるいは、今期残り予算の最適な使い道を検討中の団体もあるかもしれません。

そんなとき、ホームページや動画制作に投資することは非常に良い選択肢と言えます。ホームページや動画は、言うまでもなく企業のブランディング・営業活動・採用活動に大いに役立ってくれます。なおかつ、企業・団体ホームページ制作費は多くの場合は損金となりますし、動画制作費も一般的には損金算入で問題ありません。

以下、ホームページ制作費や動画制作費の税務上のポイントについて、簡潔にまとめました。制作する前にこのポイントを知っておけば、予め損金算入と資産計上のどちらになるか見当をつけることができます。また、利益予測や予算状況に応じて、財務的に有利な方法を検討することもできるでしょう。(例えば、利益予想が控えめの場合には、資産計上による費用の分散が有利になる可能性も考えられます。)

なお、以下は一般的な見解をまとめたものです。個別のケースがどうなるかは、実際にかかった費用・期間・税制特例等によって変わりますので、顧問税理士等にご相談ください。

ホームページ制作費は原則として損金になる

「ホームページ制作費は損金か資産か」問題でよく参照されるのが、国税庁が以前公式サイトに掲載していたQ&Aの内容です。このページは現在の公式サイトからは削除されているため、参考までに当時のスクリーンショットを貼っておきます(2015年9月時点の掲載内容)。

上記Q&Aにて、

通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上に及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。

と述べられているとおり、ホームページ制作費は基本的には損金として認められると言えます。

ここで例外として挙げられているのは以下の2つのケースです。

【例外1】ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合

上記Q&Aに、

ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。

とあります。ただ、企業サイトの場合は、お知らせ更新や採用情報の更新等、1年の間に掲載情報に何かしら更新が発生する場合が大半ですので、実際のところ(少なくとも弊社クライアントに限って言えば)この例外に該当するケースは少ないです。
※もちろん、最初から「うちは1年以上更新するつもりはない」という場合は、税務処理について顧問税理士などに相談したほうがよいでしょう。

【例外2】プログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページ

上記Q&Aに、

制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却することとなります。

とあります。しかし、具体的にどのようなプログラムやソフトウェアが該当するかは、ここには記載がありません。
この点については様々な税理士事務所等がWeb上に見解を出しており、それらをまとめると

  • オンラインショッピング機能、会員ログイン機能、店舗予約機能、商品検索機能といった高機能なプログラムは、ソフトウェアと見なされることが多い
  • WordPress等のCMSは、一般的にソフトウェア扱いとはならない(ホームページ制作費と同じく広告宣伝費でOK)

という見解が多いようです。

公式見解があるわけではないので、やはり実際は顧問税理士等との相談が必要でしょう。

ホームページ制作費にソフトウェア開発が含まれる場合、会計処理を分けることができる

「なるべく広告宣伝費として一括損金にしたかったが、税理士と相談した結果、この機能だけはソフトウェアに当たるため資産計上しないといけない」という場合もあるかと思います。そういうときは、広告宣伝費とソフトウェアの費用を分けて会計処理するとよいでしょう。
つまり、広告宣伝費に当たる金額は損金処理、ソフトウェア開発に当たる金額は資産計上し償却処理するということです。
ただし、「ホームページ作成費用一式」のように費用が明確に区別できない場合は、丸ごと資産計上する必要があります。見積等で費用を区別できるかどうかは、制作会社に確認しておくとよいでしょう。

ちなみにシアンスでは、見積明細の項目を細かく分けているため費用の区別がしやすいです。ソフトウェア部分だけ見積を分けるなども柔軟に対応させていただいていますので、ご安心ください。

動画制作費も一般的に損金となる

税理士事務所等のWeb上の見解を参照すると、PR目的の動画制作を外注しデータ納品を受ける場合は、一般的に損金と考えて問題ありません。

ただし、動画を複数年に渡って使用する場合や、制作費が高額になる場合等は、資産計上が適当なケースもあるようです。個別のケースがどうなるかは、実際にかかった費用・期間・税制特例等によって変わりますので、顧問税理士等にご相談ください。

まとめ

ホームページ制作費や動画制作費の税務処理は、「損金算入」か「資産計上」かの選択によって、企業の税負担や財務戦略に影響を与えます。本記事で述べたとおり、多くのケースは損金算入が可能ですので、当期の利益を圧縮し税負担を軽減する効果があるといえるでしょう。もちろん資産計上が妥当なケースもありますので、予算状況や事業計画を考慮しながら、顧問税理士などの専門家と相談して最適な選択を行いましょう。

シアンスでは、「HP・動画を今期の損金で処理したいので年度内に納品してほしい!」というご相談をまだまだ受け付けています。迷っている企業のご担当者様は、まずはお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な見解をまとめたものです。個別のケースがどうなるかは、実際にかかった費用・期間・税制特例措置等によって変わりますので、顧問税理士等にご相談ください。

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クライアントからの要望と制作チームからの技術的提案の双方を広く理解し、最適解を見つけていく現実的なバランサー。丁寧かつポジティブなコミュニケーションでクライアントとの信頼関係を築く。

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